1.ディプロマシーとは
「ディプロマシー」は、1960年代に発売されたボードゲームで、ジャンルとしては陣取り合戦です。ヨーロッパの列強国の1総帥となり、覇権を争う。そんなゲームです。
英語では"Diplomacy"、これは外交という意味です。このゲームの本質は、タイトルに現すように、「外交」にあります。
このゲームでは軍隊を表すコマとして陸軍と海軍があるのですが、陣取りをする上でのコマを動かすのは、単にコマを隣の場所に動かすことしかありません。 コマは、陸軍と海軍の2種類しかなく、これらは移動できる場所が違うだけで、強さはみんないっしょです。そして、ゲーム序盤では、どの国もふつうに考えたら自衛で精一杯ぐらいの軍数しか保有していないのです。
そこで、「外交」の出番なのです。ほかのプレイヤーを時には味方にし、場合によっては欺き、協力したり、奇襲したり。そんな駆け引きを楽しむのが、「ディプロマシー」というゲームなのです。
2.ディプロマシーと「コロニアル・ディプロマシー」
1994年、アバロン・ヒル社から、別バージョン(マップ)のディプロマシーとして、「コロニアル・ディプロマシー」が発売されました。
コロニアルとは英語で"Colonial"、植民地を意味します。このサイトのタイトル「植民地時代」は、ゲームのタイトルからきていたわけです。
ディプロマシーが登場からもうすぐ50年になろうとしている中で、コロニアル・ディプロマシーは、発売から15年ほど、何度か再販されているディプロマシーと違いいまでは入手が困難なこと、また、マップが若干大きくなり、国数(プレイヤー数)こそ同じであれ、かなり複雑な情勢のマップになったことから、知名度・人気ともにディプロマシーより遙かに下に位置しています。
しかし、コロニアルにはコロニアルの深い味わいがある、と、私は考えています。特に、シベリア鉄道(XX.コロニアル固有ルール 参照)を保有するロシア、4つの拠点を持ち、スタートからありとあらゆる国に干渉していく必要のあるイギリスなど、ディプロマシー以上に無限に広がる展開を期待させてくれます。
コロニアル・ディプロマシーは、ぜひ、一度はプレイしてもらいたい、隠れた良作なのです。
3.ゲームの目的
ゲーム上は、陸地または海の、複数の地域で分けられています。陸地のうち、「補給都市」と呼ばれる場所が、ディプロマシーでは34箇所、コロニアル・ディプロマシーでは55箇所用意されていて、この過半数を獲得することが、ゲームの目的であり勝利条件です。
ゲーム開始時点では、各国3~6箇所の補給都市しか保有しておらず、また、保有する補給都市数=保有できる軍のコマ数なので、序盤戦は、軍数も少なく、目指す目標もなかなか高いところにあることがわかります。
4.ゲームの流れ
このゲームはターン制です。そして、奇数ターンと偶数ターンでやることが違います。これについて説明します。
- 奇数ターンの流れ
- a.外交フェイズ → b.命令書記入フェイズ → c.命令解決フェイズ → d.敗走フェイズ
- 偶数ターンの流れ
- a.外交フェイズ → b.命令書記入フェイズ → c.命令解決フェイズ → d.敗走フェイズ → e.占領地決定フェイズ → f.軍隊調整決定フェイズ → g.軍隊調整フェイズ
奇数ターンと偶数ターンでは、基本的にやることが一緒で、偶数ターンだけe以降の作業がある、と覚えておきましょう。以下に、各フェイズでやること(やれること)を説明します。
- a.外交フェイズ
- 外交フェイズは、「ディプロマシー」のゲームを一番特徴付けるフェイズで、基本的に、ほかのプレイヤーと会話(外交)をしていく時間です。ボードゲーム上でのプレイでは、30分とか1時間とか、時間を区切って、その時間内であれば、誰と、どのような話をしてもかまいません。もちろん、会話を拒否してもよいですし、自分から進んで話をする必要もありません。PbEMであれば、時間が1週間とか2週間になり、会話がEメールを使って行います。このネット・コロニアル・ディプロマシーでは、外交フェイズスタートの宣言はマスターのメールによって通知され、そのメールにて外交期限が通達されます。
- b.命令書記入フェイズ
- このターンの、自分のコマの動きを命令書として記述する時間です。コマは、移動、待機、支援、輸送という、4つの簡単な命令だけを1コマ1つずつだけ行うことができます。慣れたプレイヤー同士の場合は、往々にして外交フェイズの時間内に組み込まれてしまうフェイズです。PbEMの場合も、外交フェイズと一緒にすることが普通です。このネット・コロニアル・ディプロマシーでは、外交フェイズスタート宣言のマスターのメールの中に、命令書提出期限が明記され、その日がいまのターンにおける外交フェイズの期限であり命令書記入フェイズの期限になります。
- c.命令解決フェイズ
- このフェイズはマスターが執り行うフェイズで、各国のプレイヤーから提出された軍隊への命令内容を解決していきます。各軍隊はすべて同時に行動したとみなされ、軍隊同士が衝突するようなことがあった場合、ルールに従って解決されます。戦闘に負けた場合、軍隊が敗走することもあります。
- d.敗走フェイズ
- c.命令解決フェイズにおける解決の結果、敗走することとなった軍隊がいた場合、隣接地に逃げ場があれば、逃げるか、または軍隊の消去を選ぶことができます。この敗走先を選択・解決するのが敗走フェイズで、敗走軍も複数いた場合はやはり同時に解決されます。
- e.占領地決定フェイズ
- 偶数ターンのみ行います。この時点で補給都市上にいる軍隊を見ます。それらの補給都市は、いま軍隊を配置している国のものになります。一度占領した補給都市は、ほかのプレイヤーにとられない限りは、ずっとその国のものになりますので、一度占領が決定したら、その土地を空き地にしても、保有し続けることができます。初心者にありがちなのですが、占領地の決定は偶数ターンの命令解決終了後のみに行われますので、奇数ターンに補給都市に入っても、偶数ターンに出てしまったらその補給都市は占領したことにならないので注意。
- f.軍隊調整決定フェイズ
- 偶数ターンのみ行います。補給都市の占領状況が確定したら、各プレイヤーは、自分が保有している補給都市と軍隊の数を数えます。保有する軍隊より補給都市のほうが多い場合は、新たに軍隊を配置することができます。保有する補給都市より軍隊のほうが多い場合は、軍隊の総数が保有する補給都市と同じ数になるまで、減らさなくてはなりません。この軍隊の配置または廃棄を軍隊増減調整命令として記述するのが軍隊調整決定フェイズです。ちなみに、これも初心者が勘違いしやすいのですが、外交ができるのはあくまでa.外交フェイズの時間の間だけです。配置の際にほかのプレイヤーと相談することはできません(外交フェイズの間に、あらかじめ軍隊の配置について相談しておくことはもちろんかまいません)。
- g.軍隊調整フェイズ
- 偶数ターンのみ行います。f.軍隊調整決定フェイズで記述した内容に乗っ取り、軍隊の増減を行います。 次の章以降は、個々のフェイズについての説明を行います。
5.開始準備
ゲームを開始する前に、プレイヤーは担当国を決めます。担当国は、くじ引きでも、話し合って決めてもいいでしょう。ところで、ディプロマシーは国数分のプレイヤーが揃うことでゲームの醍醐味が一番発揮されるので、7名のプレイヤーはそろえたいところです。
プレイヤーとは別に、ゲームの進行をコントロールするマスターが1人いるとゲームを円滑に行うことができます。
国を選択する上で重要な情報として、担当できる国と、ゲーム開始時に保有する軍の位置を紹介します。
軍が初期配置されている場所は各国にとっての「生産拠点」であり、後の説明で出てくる「軍隊の配置」の際の、軍隊の配置可能な場所となります。また、初期国力は軍を配置しているこれらの場所だけです。このことに注意してください※1。
| 国名 | 国力 | 軍 | |
|---|---|---|---|
| イギリス | 6 | 陸軍(DEL, BOM, MAD), 海軍(ADEN, HK, SIN) | |
| フランス | 3 | 陸軍(TON, COC), 海軍(ANN) | |
| オランダ | 3 | 陸軍(BOR), 海軍(JAVA, SUM) | |
| 中国 | 5 | 陸軍(MAC, PEK, SHA, CAN, SIK) | |
| 日本 | 4 | 陸軍(KYO), 海軍(OTA, TOK, KYU) | |
| ロシア | 5 | 陸軍(VLA, OMSK, MOS), 海軍(ODE, P.ART) | |
| トルコ | 3 | 陸軍(ANG), 海軍(BAG, CON) | |
ネット・コロニアル・ディプロマシーでは、以下の手順で開始準備を行います。
- 1.プレイヤー募集
- プレイヤーの募集を行います。7名が揃ったら、募集終了です。
- 2.担当国希望ヒアリング
- マスターより、担当希望国のアンケートを行います。第1希望~第7希望まで、自分がどの国が担当したいかをマスターにメールで申告します。
- 3.担当国決定
- アンケートの結果、希望の高い順に担当国を決定します。競合した場合は、抽選となります。抽選に外れた人は下位順位の希望になります。過去のプレイの中では、運の悪い人は第5希望になったことがありますが、他のプレイヤーが、この人の第1~第4希望を第1希望としていた場合には起こりうることです。
- 4.ゲーム開始
- マスターが担当国を通知し、第1ターンの行軍命令書提出期限を通知します。このときから、ゲームは開始され、第1ターンの外交フェイズがはじまります。
6.外交
ターンの最初は外交フェイズからはじまります。先述の通り、ディプロマシーは「外交」のゲームで、このゲームの醍醐味を一番堪能するフェイズです。うまくいくプレイヤーは、まず間違いなく、外交フェイズでの会話が活発な人です。これはボード上ででも、ネットででも、だいたいそうなります。理由としては、最初の時点で1国(1プレイヤー)に与えられる軍数が意外とシビアだから、でしょう。ひとりの力ではどうにもならない、それがディプロマシーです。一見すぐには関係ない国とでも、情報収集の意味はあります。お互いの持ってる情報を交換しあい、自分にとって近くの国の動向を探ることだってできるのです。
外交はどのようにおこなうのでしょう。ある2人のプレイヤーが、遠いところへいってひそひそ話をするかもしれません。トイレに行くふりをして、数人が集って会話しているかもしれません。あるいは、そっと、密書を託すこともあるかも。その内容もさまざま。友好的な内容もあれば、力関係による厳しいものだってあるかもしれません。古く春秋戦国時代の言葉を引き合いに出せば、合従や連衡を画策する人もいるでしょう。そういう駆け引きを楽しむのが、この外交フェイズです。
あるすごい(ひどい)外交の例を出しましょう。私の先輩方の話です。
Sさんは、ディプロマシーでフランスを担当していました。Jさんは隣国で、フランスに圧力をかけていて、いまにも首都パリを陥落させる勢い。しかし周りの情勢もある。SさんはなんとかJさんを止めるためJさんと不戦の約束を取り付け、Jさんから証文までとりました。曰く、「パリには攻め込みません」と。
外交フェイズが終わり、いざ行軍。Jさんはさくっとパリに進駐!当然、Sさんは怒ります、
「J!おまえ、パリには入らないって言ったじゃないか~。この証文は嘘だったのかッ!」
Jさんの答え、
「Sさん、よくみてくださいよ、これ、パリじゃなくって、ペリっすよ~!上、つながってるでしょう~?」
これは中でもひどい例ですが、こんな感じで、ゲームは進んでいくのです。。。
ちなみに。実際問題のところ、あまり策謀に走らず、しっかりとした信頼関係を組む方が、このゲームはうまくいくことが多いですけどね。。。
7.命令書の書き方
外交をしている中で、当然、このターン、自軍をどう動かすか、相手はどう動くのか。これを常にシミュレートする必要があります。この章では、ひとつひとつの軍は、なにができるのかの概要と、命令書の書き方について説明します。
軍隊がとれる行動は、以下の4つです。実にシンプルです。
- 移動
- 軍隊を、いまいる場所から隣接地へ移動させます。陸軍は陸地のみ、海軍は、海域と、海域に隣接する陸地に移動ができます。移動の際には、当然、他の軍と衝突することもあります。衝突についての解決方法については、次章にて詳しく説明します。
重要なルールとして、このゲームでは、国籍、種別問わず、1つの地域には1つの軍しか存在することができません。軍のいる場所に他の軍が入ろうとすれば、にらみ合い、はたまた、紛争が発生するのです。 - 待機
- 軍隊は移動せず、その場でとどまります。
- 支援
- このゲーム、軍隊は陸軍でも海軍でも同じ1戦力となり、同戦力であれば引き分けになります。支援は、移動または待機をしている軍に対して力を貸すことで、支援対象の戦力を増加するための行動です。ちなみに、支援を実行している部隊はその場に止まっているため、待機と同じ扱いです。他の軍の移動や待機を支援しようとしているため、他の国の軍が領域に進行しようとしていた場合には、その軍を対応するため、支援行動ができなくなります。軍の行動においては、このこと(支援が阻止されること)は重要な要素です。
- 輸送
- 海を隔てた地域を陸軍が移動するために、海軍、それも海域にいる海軍だけが取れる行動です(陸地にいる海軍はできません)。輸送もまた支援と同様、待機扱いですが、支援と違い、他国の軍が領域に進行してきても、敗退しなければ輸送に影響は出ません。
以下、先に、命令書の書き方を説明します。
命令書の基本フォーマットは、以下の通りです。
<軍の種類> <軍隊の位置> <命令内容>
例) A MAC - SEO
「軍の種類」は、A(Army: 陸軍)、またはF(Fleat: 海軍)を書き、自分が保有する軍の位置を「軍隊の位置」に書いていきます。まず、命令書を書く前に、軍の種類と軍隊の位置を列挙しておくと間違いや抜けがなくていいです。たとえば、日本プレイヤーの最初のターンを例にとれば、
A KYO
F OTA
F TOK
F KYU
と、こんな感じです。各行動における、命令書の書き方について個別に説明をしていきましょう。
- 移動
- 移動は、簡単に、命令内容のところに行き先を書けばよいだけです。たとえば、
F TOK - OS
こんな感じです。簡単ですね。
海軍の場合、海岸をあわせて書く必要がありますが、それは次節で説明しましょう。
- 待機
- 待機の場合は、命令内容をなにも書かなければよいです。自分でわかりやすくしたい場合は、「待機」とか「Hold」と書いておけばよいでしょう。
A DEL HOLD
待機はそんなに使うことがないのかもしれませんが、補給都市の占領は偶数ターンの終了後であることをお忘れなく。 - 支援
- 支援は、ちょっと複雑ですし、間違ったり、書き漏れをすることも多いので、よく読んで覚えてください。記述要領は、以下の通りです。
<軍の種類> <軍隊の位置> S <支援先の部隊の国籍> <支援先の部隊の行動>
これだけだと、よくわかりませんね。では、ケーススタディです。
たとえば、日本プレイヤーが、自国のTOK海軍がOSに移動するのを、OTA海軍で支援しようとした場合の命令書は、こうなります。F TOK - OS
Sというのは、Support、支援のことです。まず、支援をするという「S」の命令が最初にきて、その後に、日本軍の海軍がTOKからOSへの移動、と、支援対象の行動を明記しています。
F OTA S Japan F TOK - OS
ケース2として、他国を支援する場合の例も。
たとえば、フランスプレイヤーは海軍をSUN.Sに駐留させているとします。英国はJSに海軍を置き、SINの陸軍をBORに上陸させようとしました。仏国は英国のSIN海軍を支援しようとしました。こう書きます。F SUN.S S England F JS
支援先の部隊が支援をしてても、輸送をしてても、待機と同じ扱いになるので、これで問題がありません。ちなみに、支援対象が移動してしまった場合には、支援はキャンセルされます。あくまで、支援は、行動まで伴って実行が可能になるのです。 - 輸送
- 輸送も、ちょっと複雑です。そもそも、海域を渡る場合、陸軍の移動命令はどうかかれるのでしょう?支援のケース2の、今度は英国側を例にしてみましょう。こうなります。
A SIN - BOR
陸軍は、単純に、移動元から移動先を書くだけです。そのルートを、海軍が確保してくれているかどうかが移動の鍵になります。海軍側も、陸軍の移動元から移動先を輸送、と書くだけです。「C」は、Convoyの頭文字を取っています。書き方は、支援と一緒ですね。命令解決の際、移動元から移動先までの輸送命令を受けた海軍が、1ルートでも確保されていれば輸送ができます。上記の例であれば海域ひとつですが、次の例は、2海域以上を移動する陸軍の例になります。
F JS C England A SIN - BORA CEY - ARA
ルート的には、CEY - WIO - GOA - ARAとCEY - WIO - ARA.S - ARAの2つが確保されています。GOAまたはARA.Sの海軍のどちらかが敗走しても、輸送は成り立ちます。命令書を書く上では、ルートがつながっていることだけ気にすればよく、どんなルートで行くかは気にする必要がありません。
F WIO C England A CEY - ARA
F GOA C England A CEY - ARA
F ARA.S C Endland A CEY - ARA
8.移動
軍の移動のルールについて説明します。
まず、軍の移動ルールとして、共通のルールがあります。それは、「陸軍の輸送を除き、1ターンで移動できるのは隣接している地域のみ」だということです。以下、陸軍・海軍について、個別に説明していきます。
陸軍の移動ルールは非常に簡単です。
- 移動は陸地のみ可能で、海域に移動することはできない。
- 海域を越えて移動する場合、海軍の輸送の力を借りる必要がある。
ですが、いくつかの陸地の間は、さも橋が架かってるかのように、移動することができます。その場所について、下記に列挙します。地図上でも、黄色い線でつないでいます。
- SAK(樺太) - OTA(小樽)
- OTA(小樽) - AKI(秋田)
- KYO(京都) - KYU(九州)
- MNA(マニラ) - CEBU(セブ島)
- CEBU(セブ島) - DAV(ダバオ)
- CAN(広東) - HK(香港)
- MAL(マレーシア) - SIN(シンガポール)
- CON(イスタンブール) - ANG(アンゴラ)
海軍の移動ルールは、以下の通りです。
- 海軍が海域にいる場合、隣接地になる海域か陸地に移動することができる。
- 海軍が陸地にいる場合、その陸地が隣接している海域への移動ができる。
- 海軍が陸地にいる場合、陸地に移動することもできる。この移動先は、その陸地が隣接している陸地で、かつ、その陸地に接している海域のいずれかが、移動元と移動先の陸地双方の隣接地であり、かつ移動可能な海域であること。
海軍移動の3つ目のルールは、「海岸」ルールを併せて説明しなければなんでこんなまわりくどい説明になっているのかがわかりませんので、海岸ルールと、具体的な例で説明したいと思います。
いくつかの地域は、海岸を持っている地域があります。これは、どの海から進入したかによって、その陸地上で、次のターンに移動可能な場所が変わる可能性がある、ということです。海岸を持つ地域は、以下の3個所です。
- ARA(アラビア) 北岸と南岸
- BAN(バンコク) 東岸と西岸
- SEO(ソウル) 東岸と西岸
これらの地域に入る場合には、移動の場合に、海岸も併せて書く必要があります。
F FUS - SEO(East Coast)
上記の例では、FUS(釜山)からSEO(ソウル)への移動のため、どちらの海岸にも移動することが可能ですが、明らかに片方の海岸しか入れない場合も、海岸を指定して記述するようにしましょう。
F AS - BAN(West Coast)
さて、さきほどの海軍の移動の3つ目のルールの具体的説明に入ります。「その陸地が隣接している陸地で、かつ、その陸地に接している海域のいずれかが、移動元と移動先の陸地双方の隣接地であり、かつ移動可能な海域」の意味です。
KAR(カラチ)にいる海軍の移動先を考えてみます。
PG(ペルシャ湾)、ARA.S(アラビア海)は、カラチの隣接海域なので移動可です。次に、陸地 - 陸地の移動について考えます。
KAR - PER(ペルシア)は、陸地が隣接しています。また、この両方の地域に隣接している海域PG(ペルシャ湾)があるため、PERには移動が可能です。KAR - RAJ(ラジャスタン)への移動も、同様に、陸地同士が隣接で、かつ、この両方の地域に隣接している海域ARA.S(アラビア海)があるので、RAJへの移動も可能です。しかし、AFG(アフガニスタン)やPUN(パンジャブ)は、陸地は接しているけれども、この両方の地域に隣接している海域がないので、移動ができません。と、こんな感じで解釈されるのです。
しかし。。。AFG(アフガニスタン)やPUN(パンジャブ)は明らかに地図上内陸地なので海軍で移動ができないのは見ればわかります。では、なんで上の表現で移動先を定義しているのでしょう。
ARA(アラビア)の南岸(South Coast)にいる海軍の移動先を考えてみます。
アラビアの南岸からみた場合に隣接している海域は、GOA(アラビア湾)、ARA.S(アラビア海)の2つです。PG(ペルシャ湾)は隣接していないので、海軍はARAにいますが、ここに移動することはできません。陸地はどうでしょう。OMAN(オマーン)はARA.S(アラビア海)、ADEN(アデン)はGOA(アフリカ湾)がそれぞれ共通の海域なので、移動が可能です。隣接する陸地は他にBAG(バグダッド)、MEC(メッカ)、SYR(シリア)がありますが、MEC(メッカ)とSYR(シリア)は共通する海域がないので移動できません。問題はBAG(バグダッド)です。こことは、PG(ペルシャ湾)という海域で隣接していますが、この海域には移動ができません。なので、南岸にいるARA(アラビア)海軍の移動可能先は、OMAN(オマーン)・ADEN(アデン)・GOA(アラビア湾)・ARA.S(アラビア海)の4個所、となります。
海岸ルールにこのような意味があるため、それをはっきりさせるため、上記のルール説明でかなり回りくどい表現になってしまいましたが、基本的には、海軍は内陸には入れないというイメージをしっかり持っていれば、無理な移動はしなくなるでしょう。
だいたいの場合、陸地のある場所は海岸がからむのですが、特例として、海域を持たない地域もあります。
- CEBU(セブ島)
この領域は海岸を持ちません。たとえば、MP(中太平洋)からCEBU(セブ島)へ移動した次ターンにSUL.S(スル海)に移動することができたりします。まあ、コロニアルのセブ島はみたままでわかりやすいのですが。。。
9.支援と衝突
軍が移動した場合、軍同士の衝突が発生します。軍は、陸軍にしても海軍にしても、1戦力を保有し、1戦力同士がぶつかろうとした場合、にらみあいになって、攻め込む側は結局移動ができずに終わります。これを打破するために、支援があります。支援は、移動や待機をしようとする他の軍の戦力を増す力があります。1つの軍が支援をしたら、支援を受けた軍は2戦力になるわけです。
支援は、どのように行えるのでしょう。支援を行う軍は、支援を行いたい先に対して、以下の条件が必要です。
- 支援先は、支援元の軍が1ターンで移動可能な場所であること。
- 支援元の場所に、支援先以外にいる、他国の軍からの移動がないこと。
上の条件は、命令書を書く時点で気をつけることです。注意点は2つ。ひとつ、支援元の軍は、支援先の場所が移動可能であること。海軍であれば移動のできない内陸への支援はできませんし、陸軍で海域にいる海軍を支援することも不可能です。海岸をもつエリアにいる海軍は、移動先というのが、接岸している海岸に左右されることも忘れてはいけません。もうひとつ、支援先の軍が移動をする場合、その軍の移動元が隣接地である必要はありません。
下の条件は、命令の解決時点で決まります。しかし、支援を考える際には、他国に干渉されて支援が切られることを考慮しておく必要があるでしょう。
支援が解決され、各軍の戦力が決まれば、あとは解決です。戦力が同数、または進入側のほうが少ない場合は、移動は行うことができなかったことになります(このことを、スタンドオフと呼びます)。この場合、待機とは違いますので注意。進入側の戦力が1でも上回った場合は、もともとその場所にいた軍は「敗走」し、その場所から退去しなければなりません。このとき、その場所にいた部隊に輸送命令が出ていた場合、その輸送もキャンセルされ、その結果、陸軍の輸送ルートが1本もなくなった場合、陸軍の移動も失敗します。
さて、ここからはケース・スタディです。
- ケース1 2対1
Rus A TAS - KAG
ロシア陸軍が、英国の支援を受けて、中国領のKAGに攻め込みました。中国URU陸軍もKAGに移動しようとしましたが、TASは2戦力、URUは1戦力のため、URU陸軍は移動ができず(進んで負けたのではなく、移動自体が失敗になります)、TAS陸軍がKAGへ移動します。
Eng A KAM S Rus A TAS - KAG
Cha A URU - KAG- ケース2 支援の切断
Rus A TAS - KAG
ケース1同様、ロシア陸軍が、英国の支援を受けて、中国領のKAGに攻め込みました。しかし、中国は英国が支援することを予測し、TIBからKAMへ移動をかけました。このため、KAMの英国陸軍のロシア陸軍への支援が切られ、TAS - KAG, URU - KAGは1対1となり、双方移動に失敗します。もちろん、KAMとTIBも、1対1ですので、TIBは移動ができず、このターンはたくさんの軍が移動を試みながら、結局戦線は膠着状態のままとなったわけです。
Eng A KAM S Rus A TAS - KAG
Cha A URU - KAG, A TIB - KAM- ケース3 支援が切れない
Rus A TAS - KAG
ケース1の際、もともと、中国陸軍がKAGにいた場合のケースです。ロシア陸軍が侵攻し、それを英国陸軍が支援する図式はかわりません。中国のKAG陸軍は支援を行う英国の陸軍のところへ移動しようとしています。初心者が忘れがちなミスのひとつに、「支援先の場所からやってきた軍によっては支援は切られない」というルールがあります。英国陸軍の支援先は、KAGです。ロシア陸軍が元にいた場所(TAS)は関係がありません。そのKAGからやってきた軍によっては支援は切れないため、結果、
Eng A KAM S Rus A TAS - KAG
Cha A KAG - KAM
- KAGとKAMは1対1なのでKAGの陸軍は移動できない。
- TASとKAGは2対1なのでKAGの陸軍は敗走する。
- ケース4 でも支援が切れることだってある
Rus A TAS - KAG
ケース3の場合で、KAGの中国陸軍が、TIB陸軍の支援を受けて英国領のKAMに侵攻した場合です。この場合はどうなるのでしょうか。
Eng A KAM S Rus A TAS - KAG
Cha A KAG - KAM, A TIB S Cha A KAG - KAM- KAGとKAMは2対1なのでKAGの陸軍の移動は成功し、KAMの支援は失敗し、KAM陸軍は敗走する。
- KAGの移動が成功したので、空き地とるKAGにTASの陸軍はなにごともなく移動ができる。
- ケース5 2対2
Rus A TAS - KAG, KIR S Rus A TAS - KAG
ロシアTAS陸軍がKIR陸軍の支援つきでKAGに進入しようとしています。中国陸軍も、URU陸軍がTIB陸軍の支援を受けながら進入しようとしました。こういったケースは簡単で、単純に2対2となって、どちらも移動に失敗します。
Cha A URU - KAG, A TIB S Cha A URU - KAG- ケース6 入れ替わり、はできないよ
Rus A TAS - KAG
ロシアTAS陸軍がKAGに移動しようとするのと同時に、中国KAG陸軍もTASへ移動しようとしています。こういう場合も、1対1で双方移動ができません。軍は入れ替わることはないのです。
Cha A KAG - TAS- ケース7 スタンドオフの渦中に。。
Rus A KIR - KAG, TAS S Rus A KIR - KAG
ロシアの陸軍と英国の陸軍がそれぞれ2戦力でKAGに進入しようとしました。KAGには中国陸軍が1軍ポツンとしています。ケース5の場合の、進入先に軍がいるケースですね。この結果はどうなるのでしょう。
Eng A AFG - KAG, KAM S Eng A AFG - KAG
Cha A KAG Hold
もちろん、ケース5で説明した通り、こういうケースになればロシアと英国の陸軍は2対2で、どちらも移動が失敗します。中国の陸軍は?移動自体が失敗のですから、なにごともなく、KAGにとどまります。
10.撤退
移動の結果、強力な軍の侵攻により、もといた場所から追い出されてしまった場合、その場所から撤退しなくてはなりません。
撤退に選択できる場所は以下の通りです。
- もちろん、軍がいない場所
- 侵入してきた軍がもともといた場所
- このターン、スタンドオフが発生した地域(8.支援と衝突 ケース5のKAGのようなケース)
撤退の軍が複数ある場合、命令書に撤退対象になった軍の撤退先を記述し、同時解決します。撤退のとき、軍を撤退させずに、そのまま解散(コマを撤去)することもできます。
同時解決の結果、複数の軍がおなじ場所に撤退を選んだ場合、その両方の軍はともに撤退に失敗し、消滅します。撤退の前には外交フェーズはありませんので、撤退時に相談してはいけません。
11.輸送
海域にいる海軍のみ実行可能な命令として、陸軍の輸送命令があります。これは、陸軍が海域を越える命令として、特に島国である日本やオランダには必須の命令と言えます。
輸送はどの国籍の軍に対しても行うことができ、1ターンで陸軍が渡れる海域の数も制限がありません。インド洋に海軍が埋まっていれば、EGY(エジプト)からMAL(マレーシア)に1ターンで移動することだって、可能なのです。
実例として、オランダの陸軍がJAVA(ジャワ島)からCEY(セイロン島:スリランカ)へ移動しようとしています。この場合、以下のように指示を出します。
F SIO C Hol A JAVA - CEY
F EIO C Hol A JAVA - CEY
A JAVA - CEY
陸軍は海域を移動することは関係なく、移動元から移動先への移動命令を記述します。海軍は輸送命令として、Convoy(輸送)の頭文字であるCと、移動対象である陸軍の国籍・移動内容を記述します。海軍も、その海軍自体がどのような経路で輸送するのかを気にする必要はなく(たとえばSIOの海軍はJAVAからEIOに輸送して、EIOがSIOから。。。みたいな気を遣う必要はないということです)、命令解決時にすべてがつながっていさえいれば、輸送は成功になります。
輸送経路がない場合、または、輸送経路の途中の海軍が敗走し、経路が1本も無くなった場合、輸送は失敗します。
もうひとつ。陸地にいる海軍は輸送はできません。輸送命令が実行できるのは、海域にいる海軍だけです。
12.占領・生産・撤去
偶数ターンの移動、撤退が完了した時点で、軍が置かれている補給都市は、その軍を置いている国のものになります。軍がおかれていない補給都市は、引き続き、すでに保有している国のもののままです。
占領が解決したら、自国が保有している補給都市の数と保有している軍数を数えます。その数が保有している軍の総数が多い場合、軍の生産(配置)を行うことができ、逆に、軍数のほうが多い場合、補給都市の保有数と同数になるまで、軍を撤去しなくてはなりません。
軍の生産・撤去は、やはり、命令書に記述して行います。撤退同様、外交フェーズがあるわけではないので、軍の生産・撤去の際、他のプレイヤーと相談して決めてはいけません。
また、重要なルールとして、軍の生産は、ゲーム開始時に自国の軍が配置されていた場所のいずれかにしか、配置することができません。また、1地域1軍しかおけないので、その場所に軍がある場合、軍を生産することはできません。
13.コロニアル・ディプロマシー特有ルール
コロニアル・ディプロマシーのみの、特有ルールについて説明します。
- 香港
- 香港は、中国が制圧した場合のみに限り、補給都市としてカウントされません。どうも、香港は中国との交易で栄えているから、というのが理由らしいのですが。。。ゲームバランス上でも、中国はかなりきついので、きついルールな気がしてなりません。ちなみに、英国にとっては生産可能都市であることには注意が必要です。
- スエズ運河
- スエズ運河は、エジプトにある運河のことです。そもそも、海軍は、MED(地中海) - EGY(エジプト) - RS(紅海)と、順々に移動することが可能ですが、それとは別に、スエズ運河を利用すると、1ターンでMED(地中海)とRS(紅海)の間を移動ができます。
スエズ運河は、1ターンの間、移動前から移動終了後までエジプトに軍を駐屯させているプレイヤーのみが利用可能です。このとき、エジプトの軍が移動をしようとして、結果スタンドオフしてエジプトに止まった場合も結果的には移動前から移動終了までエジプトに軍が止まっているので利用可能になります。要はエジプトにいる軍はなにをしていても構わないです(とはいえ、待機、支援、移動のいずれかしかできませんが)。もちろん、EGY(エジプト)に駐屯している軍が敗走してしまった場合は、スエズ運河の利用はキャンセルされます。
スエズ運河を利用する場合には、以下のように記述します。F EGY S Trukey F MED - RS (SC Trukey F MED - RS), F MED - RS
エジプトの軍は、通常の命令に加えて、スエズ運河の利用対象になる軍を括弧書きで追記します。頭にその命令として「SC」をつけます。
スエズ運河は他国に利用させることも可能です。 - シベリア鉄道
- シベリア鉄道は、ロシア軍だけが利用可能で、広大なユーラシア大陸を輸送する鉄道である「シベリア鉄道」で陸軍を輸送する、というものです。簡単にまとめると、以下の感じです。
- 輸送できるのは陸軍のみ。
- 1ターンで輸送できる軍数は1軍のみ。
- シベリア鉄道を利用して移動できる範囲は、MOS(モスクワ) - PERM(ペルミ) - OMSK(オムスク) - KRA(クラスノヤルスク) - IRK(イルクーツク) - VLA(ウラジオストク)の6地域間。
- ターンのはじめの段階で、移動元から移動先まで敵軍がいないこと。
A VLA - TSR - MOS
TSR(Trans Siberian Railway:シベリア鉄道)を利用して陸軍が移動をしていることをこのように示します。
シベリア鉄道は、特殊な輸送のため、シベリア鉄道には移動中断があります。たとえば、以下のようなケース。Russia A MOS - TSR - VLA
中国陸軍のKRA(クラスノヤルスク)移動が成功した場合、シベリア鉄道がそこで寸断され、MOS陸軍の移動は、その手前であるOMSK(オムスク)で止まります。このとき、OMSKが埋まっていれば、さらにその手前、PERM(ペルミ)で止まります。さてもうひとつ。
China A MON - KRA
Russia A MOS - TSR - VLA
このケースでは、通常の移動であればスタンドオフとして、両軍移動に失敗しますが、ロシア軍はシベリア鉄道を利用しているのでIRK(イルクーツク)までは移動します。そしてもうひとつ。
Japan F OS - VLARussia A MOS - TSR - VLA
実はこのケースでも、日本軍とロシア軍の移動はスタンドオフして、日本軍はOS(オホーツク海)に止まったままになります。その上で、中国軍がシベリア鉄道を寸断しているので、ロシア陸軍自体はOMSK(オムスク)までしか移動しません。
Japan F OS - VLA
China A MON - KRA
シベリア鉄道の移動は実質はシベリア鉄道を利用した輸送なので、シベリア鉄道の移動先というのは支援可能先になりません。
